歯を失ってしまったら…?
歯には、咀嚼と発音、顔のバランスの維持という3つの機能があります。歯を失うと、歯と歯のすき間から息が漏れて発音が悪くなり、同時にうまく噛めなくなります。そうなると、顎が痩せてきて顔のバランスが変わり、口元だけではなく顔の見た目まで気になってしまいかねません。
中でも奥歯は食べたものをすり潰して飲み込み、消化吸収を助ける役割があります。奥歯を失うと食べ物を十分にすり潰せないことで消化吸収が悪くなり、栄養が体に行き渡りにくくなる恐れがあるのです。
また、歯を失ったところに隣の歯が倒れてきて、健康な歯まで悪くなる場合もあります。そのまま放置すると、噛む力が弱くなったりむし歯や歯周病のリスクが高まったりするため、早めに歯の機能を補うことが大切です。
インプラント治療とは?
インプラント治療とは、インプラント体と呼ばれる人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工歯を立てる治療法です。インプラント体は生体親和性に優れたチタン製で、埋め込んだところの骨が成長しながらインプラント体と結合します。インプラントは顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地を得られます。また、周りの歯を削ることなく治療できて、残存本数に治療結果が左右されません。
メリット・デメリット
メリット
- 残っている歯(健康な歯)を削る必要がない
- 周りの歯に留め具で引っかけるようなこともない
- 天然歯に近い噛み心地を得られる
- 違和感がない
- 取り外す手間がない
- 自然で美しい口元になる
- 顎の骨が痩せて顔のバランスが崩れることがない
デメリット
- 治療費が比較的高額
- 治療期間が長くなりやすい
- 周りの歯茎は天然のためケアが必要
その他の治療法(入れ歯・ブリッジ)
入れ歯
入れ歯とは、人工の歯茎と人工の歯で成り立つ装置で、留め具や吸着の仕組みを利用して装着します。
失った歯の本数に合わせて、部分入れ歯・総入れ歯をつくります。
メリット・デメリット
メリット
- 治療期間が短い
- 保険適用の入れ歯は治療費が安い
デメリット
- 天然歯と比べると噛む力が7~8割ほど弱くなる
- 留め具を引っかけた歯に負担がかかる(部分入れ歯)
- 味を感じにくくなる(総入れ歯)
- 定期的なメンテナンスでお口の形に合わせる必要がある
ブリッジ
ブリッジとは、歯を失ったところの両端の歯を削って土台にして、橋をかけるように装着する治療法です。
メリット・デメリット
メリット
- 固定されるため食事の際にずれることがない
- 保険適用のブリッジであれば治療費を抑えられる
- 外科手術が必要ない
デメリット
- 両隣の歯が健康でも削る必要がある
- 咬む力が伝わらず、顎の骨が痩せやすい
- ブリッジと歯茎の間に食べかすが詰まりやすくむし歯や歯周病のリスクが高まる
インプラント治療の方法
1回法
1回法とは、歯茎を1回だけ切開して行うインプラント手術の術式です。歯茎を切開して顎の骨に穴をあけ、インプラント体を埋め込みます。このとき、インプラント体の頭部は歯茎から出た状態で縫合するため、インプラント体と顎の骨が結合してから行う施術において歯茎の切開が不要になります。2回目の施術でアバットメントと人工歯を取り付ければ治療は完了です。
治療期間が短くて患者さまの負担も少ない一方で、2回法よりも感染リスクが高くなります。当院では、1回法においても、なるべく感染リスクを抑える取り組みをしております。
2回法
2回法は、歯茎を2回切開する術式です。歯茎を切開して顎の骨にインプラント体を埋め込み、インプラント体の頭部まで覆って縫合します。インプラント体と顎の骨が結合するまで待機し、2回目の手術で再び歯茎を切開し、インプラント体の頭部を露出させます。
そして、アバットメントと人工歯を取り付ければ治療は完了です。1回法と比べて患者さんの負担が大きく治療期間も長くなる一方で、感染リスクは少なく済みます。
インプラント治療の流れ
1カウンセリング
カウンセリングで患者さまのお口の中のお悩みや全身の健康状態などをお伺いします。インプラント治療の術式やメリット・デメリット、治療期間、費用などについてお伝えしますが、この段階で治療を受けるかどうか決めて頂く必要はありません。不明点や疑問点などはご遠慮なくお申し出ください。
2検査・診断・治療計画の立案とご提案
レントゲン撮影やCT撮影、歯周病検査、咬み合わせ、顎の骨の量を調べる検査などを行います。検査で得た情報をもとに診断し、治療計画を立案します。なお、むし歯や歯周病がある場合はそれらの治療が優先です。丁寧な説明をした後で、ご同意頂いた場合のみ治療を開始いたします。
31次手術(インプラント埋入手術)
1次手術では、歯茎を切開して顎の骨に穴をあけ、インプラント体を埋入します。1回法ではインプラント体の頭部を露出させ、2回法の場合は頭部まで覆って縫合します。
4待機期間
インプラント体と顎の骨が結合するまで約2~6ヶ月待機します。待機期間中は仮歯を装着するため、これまでどおりに食事ができます。
52次手術(歯肉切開手術)
2次手術は2回法の場合のみ行います。歯茎を再び切開してインプラント体の頭部を露出させ、アバットメントを装着します。
6人工歯の作製・装着
人工歯を作るための型取りを行い、周りの歯になじむ形・色の人工歯を作ります。仮歯を入れて問題がなければ人工歯を作製し、アバットメントに取り付けます。
7メンテナンス
インプラント治療後は、3~6ヶ月に1回のペースでメンテナンスを受ける必要があります。インプラント体と人工歯はむし歯になりませんが、周りの歯茎はインプラント周囲炎になる恐れがあるため、セルフケアと定期的なメンテナンスが欠かせません。